日本食に欠かせない「麹(英語:malt)」。もしあなたが麹を知らなくても、日本に住んでいると知らぬ間に食べていることでしょう。この状況が、麹と日本人の食卓との親密度の深さなのです。そんな麹の意味や種類、栄養素、使い方などについて、全国伝統製法調味料屋さんを訪れる和食ライフスタイリスト・管理栄養士の合田麻梨恵がお伝えしていきます。
麹とは
よく耳にする「麹」とは、一体何なのでしょうか?定義や種類について解説していきます。
麹とは
原料に微生物を繁殖させたものです。麹は甘酒、味噌、醤油、日本酒など日本を代表する発酵食品を製造する上で、欠かせません。もし、麹がないと独特の美味しさは生まれないでしょう。逆にいうと、麹があるからこそ、世界的に評価されている日本食文化が発展したといっても過言ではありません。
麹と糀の違い
どちらもコウジと読みます。麹は中国漢字、糀は日本で作られた漢字といわれています。中国では麦を原料にコウジをつくる場合が多いです。麦に広がるようにコウジが生える姿から、「麹」という漢字が作られたといわれています。一方、日本では米を原料にコウジをつくる場合が多く、顕微鏡で見たときに花が咲いているような姿から、米+花で「糀」になったといわれているのです。
麹の種類
麹の種類は、麹を生やす原料によって分けられています。日本でよくつくられているのは、米を原料とした米麹、麦を原料とした麦麹、大豆を原料とした豆麹などです。温度や湿度によって麹菌のイキイキ度が異なり、完成食品の味に影響します。こだわればこだわる程、美味しい麹づくりができるようになるのです。
麹菌とは
麹の基本を知ったところで、「麹菌」についてお話ししていきます。
麹菌とは
麹菌とは、麹をつくる元種をいいます。米や麦などの原料に麹菌を散布し、麹が完成するのです。麹菌の種類はかなり存在します。麹菌屋さんで購入したり、代々受け継いでいたり、分けていただいたりなどの方法で入手可能です。何百年も昔から麹づくりを行っている醤油や味噌の蔵元さんの木桶には麹菌が住み着いており、蔵元さんによって異なります。麹菌が変わると、出来上がった醤油や味噌の味も変わるのです。蔵ぐせといいます。そのおかげで、同じ味噌や醤油でも、味が全く異なる仕上がりになり料理の楽しさを醸し出してくれているのです。
麹菌の種類
こちらでは一般的な麹菌について解説します。日本において「麹」と呼ばれているものは、黄麹を指す場合が多いです。そのほかにも、白麹、黒麹、紅麹、鰹節菌などがあります。黒麹は焼酎に使われているのが一般的で、紅麹は中国では一般的です。その名の通り鰹節菌は、鰹節をつくる時にカビ付される際に使われます。原料や製造土地の気候風土にあった麹菌があるのです。
麹の栄養素
では、麹の栄養素はどうなのでしょうか?以下では米麹に含まれている主な栄養素と栄養素量をご紹介します。
米麹100gあたりの主な栄養素
・エネルギー(カロリー) 260kcal
・たんぱく質5.8g
・脂質1.7g
・糖質57.8g
・カリウム61mg
・マグネシウム16mg
・リン83mg
・モリブデン48μg
・ビオチン4.2μg
上記より、米麹にはミネラルの種類が多く含まれているのが読み取れます。
ミネラルはそれぞれが体内で重要な役割を担っています。ミネラルの種類が多い栄養素を含む食材を食べると、ヒトが摂取できる栄養素量の底上げになるのでおすすめです。
※ミネラル…カリウム、マグネシウム、リン、モリブデン、ビオチン
麹の使い方
麹の使い方として思い当たるのは、米麹を使った甘酒ではないでしょうか?甘酒は「飲む点滴」と言われているくらい、栄養がとれるイメージが強い食品の一つです。理由は前述のようにミネラルの種類が多く含まれているからでしょう。しかし間違えてはいけないのは、原料が酒粕ではなく、米麹である場合に限ります。また、米麹甘酒を飲めば完璧というわけではありません。しっかり栄養バランスが良い食事に+αとして使いましょう。ほかの麹の使い方としては、前述した味噌や醤油に加え、しょうゆ麹や玉ねぎ麹などがあります。
日本での生活は麹と密接!
麹や麹菌、麹の栄養素や使い方など、麹の基本知識についてお話しさせていただきました。しかし、今回の知識はほんの一部です。日本各地に行けば、その土地土地で昔から食べられ続けている麹を使った発酵食品は数多くあります。自分でつくったり、食べたり、比べてみたりと楽しめる要素も満載ですよ♪
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