管理栄養士の資格を持っている方は「予防医学」という言葉に馴染みがあるのではないでしょうか。予防医学は管理栄養士が得意な領域のため、予防医学が拡まるなか価値を高める今が絶好のチャンスです。そこで今回は予防医学における管理栄養士の役割や意義、管理栄養士として活躍できる方の特徴を解説します。
予防医学における管理栄養士の役割とは
管理栄養士の食事指導というと既に患った病気に対して指導するケースが多いですが、予防医学は病気になる前に指導して未病の身体づくりをサポートします。例えば腹痛、頭痛、眠気、疲れなど日頃の不調を感じる時点で食生活が乱れている可能性が高いため、不調にならない食生活をサポートするのです。
とはいえ現状は日本において予防医学は政府の取り組みもあり徐々に浸透しているものの、まだまだ予防医学の考え方が普及していないといっても過言ではありません。そこで参考にすべきは予防医学が進んでいるアメリカです。
アメリカでは医療費が高額で健康管理を自分で行うのが当たり前の考え方なので、生活の健康サポートを行う専門家である管理栄養士の社会的価値も高く、ヘルスコーチという職業も一般的です。ヘルスコーチとは予防医学に特化してヘルス(健康)をコーチングする仕事ですが、講師が主導権を握る指導ではなくお客様自身が主導者となり健康になるよう行動を進めるコーチングという点が異なります。
管理栄養士も指導ではなくコーチングスキルを身につけられると、より予防医学の場で活躍できるでしょう。そして未病の身体づくりをサポートして社会貢献できると、管理栄養士の価値が高まるに伴って収入も増加していくと考えられます。さらには、政府が取り組んでいる医療費削減にもつながります。この役割を果たすため、管理栄養士一人ひとりの意識と行動が不可欠です。
活躍できる管理栄養士の特徴
管理栄養士として独立開業する方も増えるなか、活躍できる管理栄養士の特徴は何でしょうか。コンサルタントをしている立場から成功する・成功しない管理栄養士を分析してみました。
本質的な知識を身につけている
管理栄養士養成課程の知識だけでは、お客様や患者様を未病の身体に導くことはできません。なぜなら管理栄養士養成課程で学ぶことは、前述の通り未病ではなく既に病気を患った方のサポートであったり、授業で学ぶ内容は基本で現場との乖離が大きく応用力が必要になったりするためです。
常に第一線で活躍し、あらゆる個人と関わってあらゆる解決パターンを知り、お客様や患者様に提案できる幅を広げ、より多くの方の未病の身体づくりに貢献する必要があります。ここができている方はお客様から信頼されて、その信頼が次の仕事につながり、組織に所属している方は上を目指せ、独立開業をする方は上手くいっているケースが多いです。
現場主義である
上記でもお伝えしましたが、答えは現場にあります。現場は基本知識と技術の応用が試される場所です。例えば今流行の「腸活」で健康になるための知識や技術は管理栄養士の養成課程では学びませんが、関係する食物繊維やプロバイオティクスなどの用語や意味は学びます。
基本の知識や技術といった学びは、誤った解釈をしないために身につけるのは必須です。その基本知識を生かせる力を持つ方が組織に所属している方は上を目指せ、独立開業をして生き残るのです。
管理栄養士は予防医学においては重要な人財!
食と健康を武器にする管理栄養士は予防医学になくてはならない存在です。そのため上辺だけの知識や技術だけではなく、農業や環境などの背景を考えた食材や調味料の知識、血液検査の結果を変える、不調改善をするなど数値や見た目で分かる変化をお客様に与えてあげましょう。
するとお客様・患者様自身も食の大切さがわかり、自ら予防医学を推進してくれるでしょう。すでに仕事に就かれている方は、不調改善や未病の身体づくりを実践して信頼関係を構築できます。独立開業を目指す、もしくはすでに独立されている方は「不調がなくなって毎日が楽しくなった」など相手の人生を変えることでリピーター増加にもつながります。
管理栄養士を活かし未病の身体づくりをサポートするには
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記事執筆・監修者
一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会 代表理事
管理栄養士・和食ライフスタイリスト 合田 麻梨恵
初めての海外訪問時に日本との素材の違いに驚愕し、”和食の魅力”に目覚める。管理栄養士として不特定多数が購入するコンビニ弁当に携わり健康な方を増やしたいと考え、商品開発者に。しかし実際は仕事として毎日3食コンビニ食で激太り&心身ともに不調をきたし限界を感じたため、異なる方法で和食で健康になれる魅力を伝えようと決意し、独立。
和食料理教室を通じて100名様以上の不調改善に成功した「食」の面、全国の自然発酵生産者100軒以上の訪問による「農業・醸造」の面、論文2万件読破した「予防医学」の面から和食の研究を重ね、未病の身体づくりができる”令和の和食TM”を提唱。予防医学専門家養成や健康経営を通して働く人の健康サポートやメディア出演、監修など。