便秘・便秘症の7つの原因

「お腹が痛い」「お腹が張っている」「毎日便が出ない」など日常の悩みの種の一つである”便秘”。その便秘について原因や種類、対処法を管理栄養士・和食ライフスタイリストがお伝えしていきます。感覚的に女性が多い気がしますが、男性でも悩みを抱えている方はいらっしゃいますね。ただし、人の身体は個人差が大きいため、個人によって事情は異なります。こちらでお伝えする情報はエビデンス情報であったとしても、あなたには当てはまらない可能性もあります。あくまでも”参考”にしていただき、症状が治らない場合は医師に、食事に関しては管理栄養士に聞くようにしましょう。

 

 

 <目次>

■便秘は病気か
■7つの便秘・便秘症の原因
 原因1・腸内環境の悪化
 原因2・食生活
 原因3・ストレス
 原因4・水分不足
 原因5・運動不足
 原因6・薬剤
 原因7・他の病気
■4つの便秘症の種類
 その1・器質性便排出障害
 その2・大腸通過遅延型
 その3・大腸通過正常型
 その4・機能性便排出障害
■種類別!便秘の対処法
 その1・大腸通過正常型
 その2・過敏性腸症候群
 その3・その他
■便秘の原因は人それぞれ!自分に合った対処法を

  

 

便秘は病気か

 

便秘の定義は「出すべき糞便を十分な量を出せない、または快適に出せない状態」で、便秘症の定義は「便秘によって何かしらの症状を来たし、検査や治療が必要な状態」です。※1 便秘症は、診断基準も定められています。※1 これらの定義から分かるように、便秘症になると病気になります。

 

 

 

7つの便秘・便秘症の原因

まずは、便秘になる原因を7つご紹介していきます。今一度、あなたの生活を振り返って原因を探りましょう。

 

原因1・腸内環境の悪化

腸内細菌は悪玉菌と善玉菌、日和見菌などの細菌で構成されています。そのバランスは、健康な腸内環境は善玉菌が優勢だと言われています。※2 しかし、健康でない方は、健康な方と比べるとバランスに変化があることも知られています。※2  実は、巷で腸活=善玉菌を増やす活が流行っている理由はそこにあります。また、善玉菌を増やすのと同様に、悪玉菌を増やさない意識も大切です。悪玉菌が増える要因としては、便秘やストレス、不規則な生活、たんぱく質や脂質が中心の食事などがあります。※2

これは私の経験談ですが、「食事に関しては自分でできている」と思っている方でも、その基準が標準的なのか、を理解されている方が少ないです。またそのやり方が間違っているケースが多く、逆に病状を悪化させてしまったりしています。「自分でできる」ではなく、第3者で専門知識のある管理栄養士に相談しましょう。

 

原因2・食生活

一般的には、たんぱく質・脂質が中心な食事も悪玉菌を増やす要因だと言われています。※2 また、過敏性腸症候群では暴飲暴食、過度の飲酒が原因とも言われています。※3(過敏性腸症候群は下記項目で説明します。)こちらも今のあなたの生活がどうなのかを客観的に見るためにも、管理栄養士に相談しましょう。

 

原因3・ストレス

ストレスを含む腸に物理的な異常(内分泌、潰瘍、炎症など)がない場合に、便秘症の一種である過敏性腸症候群の可能性が考えられます。※3 過敏性腸症候群慢性は下痢型、不安定型、分泌型の3つに分類されており、不安定型は下痢と便秘を数日毎に繰り返してしまう病状です。※3 心当たりのある方は、何がストレスになっているのかを分析して距離を置く努力を試みましょう。

 

原因4・水分不足

便秘症の際は、水分をしっかりとるのも大切だと言われています。なぜなら、便が柔らかくなり腸から出やすいためです。※1 環境省のマニュアルでは、1日に1.2Lほどの水分摂取を推奨しています。※4 目安にしてみてくださいね。

 

原因5・運動不足

有酸素運動が、便秘改善に関係することも知られています。※5 特に便排出障害は、体幹筋トレーニングが効果的とも言われています。※5 ねじりの運動も腸を刺激してくれますよ。※5 腸から便を外に押し出す力が必要なのですね。毎日10分でも良いので、基礎トレーニングを心掛けましょう。

 

原因6・薬剤

特に高齢者で問題に挙がっているのが薬剤性便秘です。※1 複数の薬を使っていたり、慢性的に薬を使用していることなども便秘に繋がってしまうのですね。薬に頼りすぎるのも自立する力を損なってしまうので、使い方や量は医師・薬剤師に相談しましょう。

 

原因7・他の病気

パーキンソン病や甲状腺機能低下症、糖尿病、大腸癌などの疾患が原因で、便秘になる可能性もあります。※1これらの場合は、その疾患の治療も同時に必要になります。※1 詳しくはこちらの記事で解説しています。

 

 

 

4つの便秘症の種類

 

便秘症には4つの種類があります。便秘の種類によって、原因や対処法が異なります。まずは、あなたがどのタイプなのか知るところから始めましょう。

 

その1・器質性便排出障害

排便困難型に分類されています。※1 言葉通り、便を出すのが難しい状態です。S状結腸瘤や直腸癌、巨大直腸などが原因で起こってしまいます。※1

 

その2・大腸通過遅延型

排便回数減少型に分類されています。※3 こちらは便を出す機能には問題ないですが、出す前の段階で異常がある状態です。急に起こってしまう特発性のものもあれば、神経・筋疾患などの病気や、オピオイド薬や抗コリン薬などの薬剤が原因のものもあります。※1

 

その3・大腸通過正常型

大腸通過正常型は、排便困難型、排便回数減少型のどちらにも分類されています。※3 排便困難型には、残便感がある便秘型過敏性腸症候群が含まれています。※1 また、 排便回数減少型は、食物繊維を含む経口摂取が不足している場合があります。※1

 

過敏性腸症候群に関しては、下記記事で詳しく説明しています。
参考にしてみてくださいね。

 

 

その4・機能性便排出障害

排便困難型に分類されています。※1 腹筋力の低下や直腸の機能低下などが原因です。※1

 

 

 

種類別!便秘の対処法

 
便秘は前述したタイプによって対処法が異なります。こちらで一般的な対処法をご紹介していきます。トライしてみてもしばらく便秘が続く場合は、専門家に相談しましょう。

 

その1・大腸通過正常型

大腸通過正常型の場合は、食物繊維の摂取が推奨されています。なぜなら、食物繊維の摂取不足が原因で、摂る量を適量にすると改善したという研究があるためです。※6 食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されており働きが異なります。水溶性食物繊維はペクチンやアガロース、アルギン酸などで、不溶性食物繊維はセミロース、キトサンなどです。※7 

 

その2・その他

器質性便排出障害(排便困難型)と大腸通過遅延型(排便回数減少型)の場合は、即病院へ行きましょう!なぜなら、あまり食事改善が有用ではないためです。例えば、”食物繊維”。その1、その2の場合では摂りたい食物繊維なども、病態を悪化させてしまう原因があることもわかっています。専門家に診ていただき、対処するのが一番です。

 

 

 

便秘の原因は人それぞれ!自分に合った対処法を

 

腸活が流行っている昨今。しかし、腸について調べると、一般的に拡まっている腸活の話は、便秘症の一部です。なので、あなたの身体を知った上で、適切な対処方法を行うのが便秘改善への近道です。そして、栄養素は腸から吸収されて血液を巡り、各組織に供給されて役割を果たせます。食材に含まれている栄養素の吸収率を高める方法を知り、栄養バランスがとれる一汁三菜の和食ライフで健康になりましょう。

 

 

 

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【参考文献】
※1 厚生労働省|e-ヘルスネット|便秘と食習慣|https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html
※2 厚生労働省|e-ヘルスネット|腸内細菌と健康|https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
※3 厚生労働省|e-ヘルスネット|過敏性腸症候群|https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-079.html
※4 環境省|熱中症 環境保健マニュアル2018|https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf
※5 日本大腸肛門病会誌|大腸肛門病センター高野病院大腸肛門機能障害診療センター 高野正太|慢性便秘症に対する食事療法、運動療法、理学療法|https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/72/10/72_621/_pdf
※6 Voderholzer WA, Schatke W, Muhldorfer BE, et al: Clinical response to dietary fiber treatment of chronic constipation. Am J Gastroenterol 92, 95-98, 1997
※7 厚生労働省|e-ヘルスネット|食物繊維|https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html

 

 

 

 

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