予防医学が普及する日本において臨床検査技師の活躍が期待されています。とはいっても、具体的には何ができるのか気になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、従来の臨床検査技師の役割と予防医学における役割の違いや将来性などを解説していきます。
予防医学とは何か、予防医学が拡まる背景に関しては下記記事で解説しています。
予防医学における臨床検査技師の役割
従来の臨床検査技師は、医師の指示のもとで採血を行ったり、検体採取を行ったり、生理学的検査を行ったりする役割があると昭和33年法律第76号の臨床検査技師などに関する法律で定められています。これらは何かしらの病気がある場合に必要になる業務です。一方で、予防医学では病気にならないようにする未病の身体づくりの考え方が基本となり、同法律において下記のように定められています。
政府は、我が国における急速な高齢化の進展等に伴い、介護関係業務に係る労働力への需要が増大していることに鑑み、この法律の公布後一年を目途として、介護関係業務に係る労働力の確保のための方策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
昭和33年法律第76号の臨床検査技師などに関する法律より抜粋
「護関係業務に係る労働力の確保のための方策について検討を加え」とありますが、2022年現時点においては具体的な役割については明言されていません。このことは、まだ明確な考え方が確立されていない変革期であることを示唆しています。
まだ具体的な活躍方法が模索されている中、先陣を切っていける人材が今後重宝されること間違いないでしょう。そのためには、臨床検査技師の専門知識や技術を深めるほか、予防医学で重要な食や運動、睡眠など関連する幅広く深い知識や技術が必要になってきます。
予防医学におけるチーム医療の一員として臨床検査技師ができること
医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などの臨床スタッフと協力して行うチーム医療もますます推進されています。他業種と連携すると言うことは、それぞれの専門性をどのように連携すると効率的なのかを俯瞰して考える必要があります。物事を俯瞰するには幅広い知識や応用力が不可欠です。しかし現状、俯瞰して考えられている方はどれくらいいるのでしょうか。チーム医療が効果的な力を発揮するために、臨床検査技師の立場からより良い連携案を講じて行動していくことが第一歩につながります。
そして従来のチーム医療は基本的には臨床現場で用いられる考え方です。一方で、未病の身体づくりを推進する予防医学においてもチーム医療の考え方は必須で、活躍の場は臨床現場から地域コミュニティに変わるでしょう。この地域コミュニティにおいて、チーム医療の考え方のもとにしつつ、一人一人の地域の方々の未病(食や運動、睡眠など生活習慣)を導くのが役割だと考えられます。
予防医学における臨床検査技師の将来性
まだまだ臨床現場で活躍する臨床検査技師の方が多いのが現状です。しかし、現在でも健診(検診)センターで働いている方は予防医学の一環の仕事ですし、法律で提言されている「介護関係業務に係る労働力への需要増大」に伴う予防医学領域介入の期待などもあります。大切なのは、臨床検査技師にしかできない仕事+αでどんな価値提供ができるのかを考え実行することでしょう。
例えば臨床検査技師の方が食(栄養)の知識技術を身につけると、健診(検診)センターや老介護施設において、その方に今必要な栄養指導ができるようになります。小さいことかもしれませんが、その積み重ねが将来の一人一人の未病の身体づくりを促進していくでしょう。また、国内だけではなく国外においても予防医学は推進されているのでますます臨床検査技師の活躍の場が広がっていきます。
予防医学における世界の動向や日本の今後の動向は下記記事で解説しています。
臨床検査技師+αで予防医学領域で活躍する!
臨床現場での仕事が多い臨床検査技師であっても予防医学の知識やスキルを+αの付加価値として身につけることで、予防医学における活躍ができるでしょう。そのためには、臨床検査技師としてどんな付加価値を提供していくのかを考え、未病の身体づくりに必要な食や運動、睡眠など生活習慣に関連する知識武装やスキル会得が不可欠です。今後の日本国内外における臨床検査技師の期待値は高いですが、まだまだ発展途上の段階になります。このチャンスを逃さず、予防医学における臨床検査技師として活躍していきましょう。
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【参考】
・昭和三十三年法律第七十六号 臨床検査技師等に関する法律|https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=333AC1000000076