近年、コロナの影響もあり健康志向が高まっていますが、病気になってからではなく、病気を予防する「予防医学」の重要性が注目されています。予防医学とは、生活習慣病や慢性疾患をはじめとする多くの疾患の予防や早期発見、早期治療を目的としており、これに関連する分野や資格も増えてきました。
本記事では、予防医学の基本から関連する分野、資格、さらには副業やビジネスのアイデアまでを詳しく解説していきます。
予防医学とは
予防医学とはその名の通り、病気の発症を「予防」することに焦点を当てた医学の一分野です。病気にならない（未病の）身体づくりをおこなうために、科学的根拠のある食事法や睡眠法、運動法をベースに推進されます。多くの病気は生活習慣や環境、遺伝などが影響するとされており、特に生活習慣病や心の病、感染症など、予防の取り組みが効果的であるとされる疾患において予防医学の役割は極めて重要です。
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
予防医学の仕事とは
前述の通り予防医学は、病気の予防や健康の促進に関わる活動を重点的におこなう医学の分野です。この視点から、具体的にどのような仕事が予防医学の範疇（はんちゅう）に含まれるのか、そしてどのような場所で活躍しているのかを探ります。クリニック、自治体、学校、企業と、予防医学の専門家は多岐にわたる場所でその能力を発揮しています。
クリニック
クリニックと一口にいってもいくつかの種類があります。ここでは、健康診断クリニック、歯科クリニック、美容クリニックを具体的にみていきましょう。
- 健康診断クリニック
健康診断クリニックはその名の通り健康診断をおこなうことで、病気の早期発見や生活習慣病のリスク管理を主な目的としています。一般的な身体のチェックはもちろん、血液検査、レントゲン、心電図などを用いて、従来の健康診断よりも詳細に体の状態をチェックします。
クリニックによっては子育てカウンセリング、食生活や運動、ストレスの管理など、個人のライフスタイルに合わせたアドバイスを専門家から受けることも可能です。健康診断クリニックの利用は、病気を防ぐための第一歩として多くの人々に推奨するため、予防医学の最前線ともいえるでしょう。
- 歯科クリニック
歯科クリニックは口腔内の健康を守るための治療を主に行っていますが、予防医学の観点からも非常に重要な役割を担っています。特に歯周病は糖尿病や心疾患などのリスクを高めることが知られているので、その予防と早期発見が必要です。
また予防歯科という専門分野では、むし歯や歯周病を防ぐための指導やシーラント処置などがおこなわれます。これらの予防的な取り組みは後々の治療を減らすだけでなく、子ども〜成人、高齢者まで生涯の口腔内の健康を維持することにもつながります。
歯科クリニックの活動は治療だけでなく予防にも重点を置いているため、予防医学の意思としてその価値が認識されているのです。
- 美容クリニック
美容クリニックは、外見の向上や若々しさの維持を目的とした治療をおこなう場所として広く認識されていますが、実際には、予防医学の観点からも大きな役割を担っています。治療は、皮膚の健康状態を維持・改善するものが多く、皮膚の異常や初期の老化のサインの発見にもつながっています。
たとえばアンチエイジングの治療は、シワやたるみだけでなく、肌の健康を考慮したアプローチが求められます。紫外線ダメージや大気汚染などの外部被害によるダメージを早期に観察し、正しいケアや治療により皮膚疾患のリスク低下が可能です。
また美容クリニックは健康的なライフスタイルや食生活、正しいスキンケアのアドバイスもおこなう機会も多いため、全体的な生活習慣の見直しを促進する場としても機能しているでしょう。
自治体
自治体における予防医学の仕事は、国の健康日本21の取り組みや市町村の健康政策の指針として重要です。たとえば専門家を迎えての定期的な健康診断の実施や健康教育のセミナー、ワクチン接種の推進などの取り組みがあります。また、高齢者や子どもたちの健康状態をサポートするためのプログラムも提供しています。
さらに、自治体は疾病の発生が発生した際の緊急対応や感染症の予防、食品の安全管理など、広範囲にわたる健康関連の取り組みを通して、地域全体の健康レベルを高めています。自治体での予防医学の仕事は、多岐にわたり業務をし、多くの住民と直接関わることができるため、社会的な影響力が非常に大きいといえるでしょう。
学校
続いて、学校での予防医学に関する仕事についてご紹介します。
- 保育園
保育園では最も成長が著しい幼少期の子どもの健康を守るという予防医学の機能を持ちます。保育の時期は、身体的・精神的な発育が重点的に行われるため適切なケアが必要です。
そのため保育園では定期的な健康診断や身体測定をおこなうことで、子供たちの健康状態を把握し、初期の健康問題を観察しています。特に集団生活の観点から、感染症の拡大を防ぐ予防策と早期発見が求められます。
さらに、保育園の食事は子どもの健康成長を支えるうえでも重要です。栄養士や管理栄養士のもとバランスの良い食事が提供され、正しい食生活の基礎が築かれます。また保育園では、子どもたちの心の健康も重視されており、心のケアをおこなうことも大切な役割です。
- 幼稚園
幼稚園は子どもたちが社会性を学び始める場であり、身体的・心理的な成長をサポートするうえで予防医学の観点は重要です。
まず身体的な健康の維持・増進のため、定期的な健康診断や身体測定が実施されます。これにより、早期の発育障害や健康問題を観察し、適切な対応をとることが可能です。また、集団生活における感染症の予防策も講じることで、適切な手洗い指導やワクチンの接種など、小児感染症のリスク軽減につながります。
食育も幼稚園での大切な役割の一つです。栄養バランスの取れた食事の提供により、子どもたちの健康な成長をサポートし、正しい食事の習慣を体に定着させていく必要があります。心の健康面においても、幼稚園は大切な役割です。子どもの感情の変化や友達関係など、さまざまな問題から心の問題を考え、保育士や心の専門家と連携して、心のケアを行います。
- 小・中学校
小・中学校での学校保健の主要な活動として、定期的な健康診断、体力・聴力のテスト、成長のモニタリングなどがおこなわれています。これにより早期に健康問題や学習障害を発見し、適切なサポートの提供が可能です。
また中学校では生活習慣病の予防や正しい食事の知識、正しい運動習慣を促進する健康教育の授業やプログラムも重要になります。それらは持続的に健康な生活基盤を築くためのものです。さらに学校には学校保健医や学校保健教師が配置され、日常的な健康相談や病気の早期発見、感染症の予防策などを担当しています。
企業
多くの企業が健康経営という形で予防医学のアプローチを取り入れることで、従業員の健康維持・増進を推進しています。
一つの主な解決として、定期的な健康の提供が挙げられます。これにより、従業員の健康状態を把握し、早期の健康問題の発見や予防が可能です。心の健康をサポートするためのヘルスケアのセミナーやメンタルカウンセリングサービスの提供も増えてきました。
さらに企業内での健康増進活動、たとえば健康食品の提供、フィットネスクラブの割引、禁煙支援プログラムなど、さまざまな取り組みがおこなわれています。これらの取り組みは従業員の健康を考慮するだけでなく、生産性の向上や雇用維持、企業イメージの向上などのメリットももたらします。
予防医学に関する資格と仕事内容
予防医学は、病気の発生予防、未病の身体づくりをおこなうことを目的として、国全体で進められています。なぜなら個人や社会全体の健康を守り、医療費の増加を抑えられるためです。予防医学に関する仕事は、病気の診断や治療だけでなく、健康の維持・増進をサポートする多様な種類が存在します。
管理栄養士
管理栄養士は、栄養学の専門家であり、人々の健康や生活習慣病の予防、そして食事療法に関する活動を主におこないます。よく間違われますが、栄養士は都道府県資格で、管理栄養士は国家資格です。管理栄養士には病院診療所での治療を受ける患者への食事療法のアドバイスや、企業や学校での栄養教育、公的機関での健康推進活動など、幅広い分野でその知識と技術が求められています。
管理栄養士の資格を取得するためには、管理栄養士養成施設での専門教育を受け、国家試験に合格しなければなりません。資格取得後も、食と健康に関する最新の研究や情報を先行して入手し、継続的な学びが求められています。今日、健康志向が高まるなかで管理栄養士の役割はますます大きくなっており、予防医学の分野においてもその重要性が増しています。
保健師
保健師は、公衆衛生の向上と地域住民の健康を守ることを目的とした専門職で、看護師の上級資格です。その役割は健康教育、予防接種、健康診断、産前産後指導、子育て支援、高齢者の健康支援など、多岐にわたります。
特に地域にあった活動を行うため、自治体の保健所や保健センター、学校などでの健康教育や高齢者の健康チェック、子どもの成長のサポートなど、日常の生活の中での健康をサポートする活動が中心です。
保健師としての資格を取得するためには、保健師養成施設での専門教育を修了し、国家試験に合格する必要があります。資格を持つ保健師は、予防医学の観点からの健康支援をおこなう、多くの場面でその専門的な知識とスキルが求められています。公衆衛生の一翼を担う保健師の役割は、健康で豊かな社会を実現するうえで欠かせません。
和食ライフスタイリスト
和食ライフスタイリストは、日本の伝統的な食文化を現代のライフスタイルに合わせて伝え、未病の身体づくりをサポートする専門家です。和食は、その栄養バランスの良さや多様な食材を組み合わせた調理法で作られる日本独特の文化です。その特徴のなかでも特にヘルシーさは、日本の長寿や低肥満率が世界に認められ、「無形文化遺産」に登録された背景でもわかるように、その価値を物語っています。
和食ライフスタイリストは、この和食の持つ健康効果や食文化の背景を深く掘り下げ、料理教室やセミナー、メディアなどお子様に伝える役割を担っています。資格取得には、専門の学習プログラムや試験の合格が必要となり、和食の知識だけでなく、食材の選び方や調理法、食事のマナーなど幅広い知識を持つことが不可欠です。
この資格を持つことで、健康と美味しさを両立させた和食の魅力を多くの人々に伝えることができ、予防医学的にもその重要性が増しています。
予防医学の資格を活かした副業アイデア
予防医学の資格は一般的職場だけでなく、多種多様な副業や独立開業の道でもその力を発揮できます。健康志向が高まる現代において、予防医学の専門知識は価値が高まりつつあります。そんな予防医学の資格を活かして、多様な分野で活躍するためのアイデアをご紹介します。
ヘルスコーチ
ヘルスコーチは、個人の健康やライフスタイルを改善するためのサポートの役割として活動します。 特に生活習慣病の予防や健康的な生活習慣の確立を目指す方々にとって、専門家からのアドバイスは価値が高いものです。予防医学の資格を持つ方がヘルスコーチとしての副業を考える場合、その深い知識と専門性は大きな強みとなります。
個別の栄養指導、運動計画の提案、ストレスマネジメントのアドバイスなど、クライアントのニーズに応じてカスタマイズしたサポートが可能です。オンラインを中心に活動すると、場所を選ばず、多くの人の健康サポートが実現できます。予防医学の知識を相談して、多くの人々の健康サポートするヘルスコーチは、今後の健康産業でのニーズの高まりが予測されます。
セミナー講師
セミナー講師としての活動は、予防医学の知識と専門性を広める絶好のチャンスです。管理栄養士や保健師などの資格を持つ専門家は、生活習慣病の予防、栄養バランスの重要性、健康的な生活習慣の確立方法など、多くのテーマでセミナーやワークショップを開催できます。
また、オンラインセミナーやウェビナーの形式を採用すると、地域や場所に関わらずに活動することも容易です。予防医学の知識を持つ専門家がセミナー講師として活動すると、社会に対する啓発活動と生活活動の両方を追求できるでしょう。
料理講師
健康的な食生活の重要性が高まるなか、料理講師は大きな需要が見られる分野です。予防医学の知識を持つ専門家が料理講師として活動して、参加者に栄養バランスの良い食事の作り方や食材の選択を実践的に伝えられます。
特に管理栄養士や和食ライフスタイリストなどの資格保持者は、その専門的な知識を守って健康的な食生活をサポートするメニューやレシピの提供が可能です。オンラインクラスの普及により、自宅からでも多くの人々に料理の技術や知識を伝えることが容易になりました。
さらに、地域のコミュニティセンターや学校、企業などでの健康セミナーとして料理教室を開催することで、より広範な層へのアプローチも可能です。料理講師としての活動は、健康と和食の両方の魅力を伝えられるメリットがあります。
インフルエンサー
近年、SNSの影響力が高まっているなか、予防医学に関する情報を発信するインフルエンサーの役割が一層重要です。管理栄養士や和食ライフスタイリストといった資格を持ち、科学的根拠のある予防医学の専門知識を持ったインフルエンサーは、信頼性のある情報をもとにその専門性を相談して食事やライフスタイルのアドバイスを具体的に伝えることができます。
YouTubeやInstagramなどのプラットフォームで、日常の食事内容や運動方法、健康に関する最新の研究結果などを共有し、健康を意識する人々とのコミュニケーションの場を増やしていけるでしょう。健康に関する情報は常に変わり続けるため、最新の情報をキャッチアップし、正確に伝えることがインフルエンサーとしての価値を高めます。
健康経営コンサルティング
健康な従業員が生産性の向上や長期的な業績向上につながると認識されている健康経営の考え方が背景にあり、組織として取り組む際にコンサルティングサポートをする仕事が発生します。具体的には企業が健康経営を実践するための戦略策定や実践方法を提案する専門職です。
予防医学の資格保有者は、具体的な健康対策や従業員の健康をサポートするプログラムの提案ができ、健康的な食生活の啓発活動を実践的にサポートできるようになります。
このような健康経営コンサルティングは、企業の持続的な成長をサポートするだけでなく、従業員のQOL（Quality of Life）の向上にも貢献します。そのため社会的な意義が高く、高い専門性を相談した仕事として注目されているのです。
予防医学の仕事は多岐にわたる！目的にあった資格取得と副業を
予防医学は、病気の発生を未然に防ぐことを目的とした学術分野であり、現代社会においてその重要性が慎重にあります。この分野での仕事は、クリニック、自治体、学校、企業など多岐にわたり、また自分でも開業して仕事を作ることも可能です。
予防医学関連の資格を持つことは、その知識と技術を活かして多様な業界での働き方を得られるだけでなく、副業や独立開業としての選択肢も広がります。セミナー講師やヘルスコーチ、料理講師など、予防医学の専門知識を活かした新しい働き方が期待されています。最終的には、予防医学の知識や資格を活かすことで、個人のキャリア共にアップし、社会全体の健康向上にも貢献できるでしょう。
予防医学分野で副業・独立開業したい方は
一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会では、予防医学【和食・健康・美容分野】の専門家として独立開業・起業できる和食ライフスタイリスト養成講座を開催しています。まずは専門家の独立開業・起業に必要な考え方や知識を7日間の無料メルマガ集中講座で学びましょう。
＼ただいま！／
予防医学専門家起業を実現する最短ルート10プレゼント中！
5秒で登録完了